【ネタバレあり】レディ・プレイヤー・ワンの感想

注意:ネタバレあります。

 

■ざっくりとした感想

 世間ではオタクは見るべき、とかいう評価で溢れてるけど大体その通りだと思う。ここ最近の映画では中々の面白さだった。惜しむらくは終盤から非常に激しい尿意に襲われてスタッフロールまでしっかり見れなかったことかな。ちなみに書いてる今は腹が痛い。

 

■面白ポイント

 まず登場するIP(知的財産権。ここでは「他社が著作権を持っている別作品やその中に出てくるキャラクター」のことを指す)の幅広さについては特筆すべき点だと思う。細かいところは正直追いきれなかったけど、キングコングゴジラ、Haloシリーズ、はてはニンジャタートルズや我らがガンダム等本当に幅広い。BGMもひと昔前ではあるが有名どころを使っていて、ダンスシーンで主人公であるパーシヴァルが「Stayin' Alive」をかけたときにヒロインのアルテミスが「定番ね」と応えるところなどは特にアメリカ圏やその時代を生きてきた人間には刺さりに刺さる演出だろう(ちなみにこのシーンにパーシヴァルが着ていったコスチュームは「バカルーバンザイの8次元ギャラクシー」という作品に出てくるものであるらしい。B級映画好きの恩師から教えてもらった知識なのでおそらくバカルーバンザイもB級映画と思う。しらんけど)。Twitterではオタクたちが「俺はガンダムで行く」に釣られまくっていたのは記憶に新しい。

 そんなIP達を使用した演出は決して嫌みったらしくもしつこくもなく、タイミングも絶妙で、シャイニングの例のようにタイトルごと引用してくる場合はきっちり舞台装置や演出も合わせてくるし、逆に物語に大きくからまないチョイ役として出てくるキャラクターは本当に「気づいた人がニヤリとできる」程度のものに抑えている。

 劇場で一回は見ておいた方がいいかな、という発想のもとに劇場に足を運んだわけだけど、正直BDで巻き戻しながらじっくり見たいという気持ちが強かった。同じ気持ちになった人はそこそこいると思う。いるよね?

 

 

■俺はガンダムでは行かない

 さて、今回Twitterでネタバレムーブにけん引してしまった原因でもある話題に移ろう。レディ・プレイヤー・ワンのシーンの中で、俺が一番グッと来た場面はどこか?という話である。

 Twitterのタイムラインではダイトウの放った「俺はガンダムで行く」にグッと来た人が圧倒的多数を占めていたように見受けられた。俺もネタを知っててもグッと来た。そのほかにも波動拳は格ゲープレイヤーなのでグッときたし、溶鉱炉に親指を立てながら沈んでいくシーンをマジでやったというところにもグッと来た。これらは全部良いシーンで、レディ・プレイヤー・ワンという作品を語るうえでも外せないシーンだと思う。でもそれらは個人的に一番のシーンではない。

 では、一体どこが一番グッと来たのか?

 それは、あの偉大で素晴らしい仮想世界「オアシス」を作ったハリデーがイースターエッグをパーシヴァルに託した後、部屋から出る際に放った一言だ。

 

 

■僕の作ってくれたゲームで遊んでくれてありがとう

 レディ・プレイヤー・ワンという作品の舞台「オアシス」は元々はハリデーとモローが作り上げた「ゲーム」だった。物語が始まった時点ではすでにオアシスはゲームだけにはとどまらず、食う寝る排泄する以外はなんでもできるVRワールドになっていた。もちろんゲームはコンテンツの大部分を占めていたようだし、結局のところオアシスがゲームで成り立っているということには変わりはなかっただろう。

 しかし、製作者の一人であるハリデーはあくまでオアシスが「ゲーム」であることにこだわっていた。ハリデーは幼少のころからゲームにどっぷりで、好きな異性ができてもうまく踏み出せないくらいに人づきあいが苦手なコミュ障クソオタクだったとしっかり描写されている。そんなハリデーだからこそ、親友でありよき理解者でもあるモローを切り離し、人生最大の後悔を背負うことになってでも自分が作った作品がゲームであることにこだわったのだろう。そして、そのハリデーが「ゲーム制作者自信の遊び心」とも言えるイースターエッグを残したのもある意味必然といえる。

 若干話が長くなったが、結局のところハリデーが望む「オアシスを継ぐ人間」は最終的に「自分の作ったゲームをすげー細かい部分まで遊びつくしてくれた人」ということになる。このクソみたいな長文を書いてる自分も元はゲームを制作していた人間だった。だからこそあの瞬間、製作者であるハリデーがプレイヤーであるパーシヴァルに告げた「僕の作ってくれたゲームで遊んでくれてありがとう」という一言には、(自分でいうのもなんだけど)ものすごく共感したし、これを自分自身でプレイヤーに直接言えたハリデーの幸せを考えると、それはもう一瞬泣きそうになるくらいグッと来たのである。

 

■READY PLAYER ONE

 さて、あり得ないくらい長い上に散文極まりない感想となってしまったが、個人的にレディ・プレイヤー・ワンという作品は誰かを喜ばせたいと真剣に考え、悩んだ経験のある人に見てほしい作品だと結論付けた。特にゲーム制作の経験がある人はみてほしい。安易に「あの作品のあのキャラ(or演出)が出てた!」というだけで済ませるにはもったいないほどのメッセージ性がこの作品には込められていた。

 もし、今オアシスの中で描かれたIPキャラや演出しか記憶に残っていないという人が居たら、今度はもう少し違った視点で見てみることをお勧めしたい。

 ところで、スタート画面で READY PLAYER 1 って表示されるゲームって相当レトロだよね。

 

終わり。